拠出した掛金は事業主は全額損金算入、加入者は小規模企業共済等掛金控除として原則全額所得控除されます。しかし、専業主婦などの第3号被保険者はもともと所得がないため、掛金拠出時に節税効果ありません。
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企業型DCで事業主が拠出した掛金は税法上どのように処理をすればよいでしょうか。
事業主が拠出した掛金はすべて損金(福利厚生費など)として処理ができます。掛金はあくまでも「給与」ではないので従業員から源泉所得税を徴収する必要がありません。また、社会保険料の標準報酬月額の算定や労働保険の計算においても掛金の額を考慮する必要はありません。
なお、この取扱いは中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)により従業員のiDeCoに上乗せして拠出した掛金についても同様の処理になります。
自営業者(第1号被保険者)が拠出した個人型DC(iDeCo)の掛金は税法上どのように処理をすればよいでしょうか。
自営業者などの第1号被保険者の場合は確定申告により支払った掛金の全額について所得控除(小規模企業共済等掛金控除)を受けることができます。
確定申告の際には、毎年10月頃に国民年金基金連合会から送付される「掛金払込証明書」を添付又は提示することが必要です。
所得税の「小規模企業共済等掛金控除」の対象となる掛金は他にどのようなものがありますか。
「小規模企業共済等掛金控除」の対象となる掛金は次の三つです。
- 小規模企業共済法の規定によって独立行政法人中小企業基盤整備機構と結んだ共済契約の掛金
- 確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金又は個人型年金加入者掛金
- 地方公共団体が実施する、いわゆる心身障害者扶養共済制度の掛金
(→この共済制度とは、地方公共団体の条例で精神又は身体に障害がある者を扶養する者を加入者として、その加入者が地方公共団体に掛金を納付し、当該地方公共団体が心身障害者の扶養のための給付金を定期に支給することを定めている制度のうち一定の要件を備えているもの)
専業主婦などの第3号被保険者が拠出した個人型DC(iDeCo)の掛金の額を、扶養者である配偶者の所得から控除することができますか。
国民年金保険料などの「社会保険料控除」の対象となる保険料相当額は扶養者である配偶者の所得から控除することができます。
しかし、「小規模企業共済等掛金控除」の対象となるiDeCoなどの掛金は、扶養者である配偶者の所得から控除することはできません。「小規模企業共済等掛金控除」の対象となるのは加入者本人の掛金に限られるからです。
平成29年1月から専業主婦などの第3号被保険者も個人型DC(iDeCo)に加入できるようになりましたが、掛金拠出時の節税効果はありません。
会社員(第2号被保険者)が拠出した個人型DC(iDeCo)の掛金は税法上どのように処理をすればよいでしょうか。
第2号被保険者の場合は、掛金の納付方法によって取扱いが異なります。
- 給与の天引きにより掛金を納付している場合は勤務先で掛金の額(小規模企業共済等掛金控除の対象額)が把握できるため、年末調整において特段の対応は不要です。
- 加入者本人の口座振替により掛金を納付している場合は、年末調整時に「給与所得者の保険料控除申告書」に国民年金基金連合会から送付される「掛金払込証明書」を添付(又は提示)して勤務先へ提出する必要があります。これにより年末調整への対応が可能となります。もちろん年明けに確定申告で対応することも可能です。
企業型DCの規約で定めた場合には従業員拠出(マッチング拠出)ができますが、従業員が拠出した額は税法上どのように処理をすればよいでしょうか。
マッチング拠出の場合は、小規模企業共済等掛金控除の対象として従業員の年末調整の際に処理をします。