優れた人材を確保するためには退職金制度を充実させることが必要です。 |
当社はいわゆる中小企業なので、大企業のように自前で退職金制度を作ることが困難な状況です。中小企業退職金共済制度とはどのような制度でしょうか。
中小企業退職金共済制度(中退共)は、法律(中小企業退職金共済法)に基づき独力では退職金制度を設けることが困難な中小企業に対して、事業主の相互共済の仕組みと国の援助によって設けられた国の退職金共済制度です。制度の運営は独立行政法人 勤労者退職金共済機構が行っています。
【一般の中小企業を対象】
一般の中小企業退職金制度(略称「中退共」)
【期間雇用従事者を対象】
特定業種退職金共済制度
- 建設業退職金共済制度(略称「建退共」)
- 清酒製造業退職金共済制度(略称「清退共」)
- 林業退職金共済制度(略称「林退共」)
中小企業の範囲はどのように定められていますか。
中小企業退職金共済(中退共)に加入できる中小企業の範囲は、以下のように業種、資本金、常用従業員数で定められています。資本金要件と常用従業員数要件はどちらかを満たしていれば加入できます。
役員も加入の対象となりますか。
法人企業の役員は加入の対象となりません。なお、従業員が20人以下の事業者の役員は小規模企業共済制度の対象となる場合があります。
→ 自営業者や小規模企業の役員のための退職金制度(小規模企業共済制度)
どのような従業員が加入の対象となりますか。
中小企業の事業主に雇用されている従業員が加入対象になります。使用人兼務役員を除き法人企業の役員は中小企業退職金共済制度(中退共)の加入対象となりません。(従業員が20人以下の事業者の役員は小規模企業共済制度の対象となる場合があります。)
なお、従業員は全員を加入させることが原則になります。ただし、試用期間中の人、定年などの短期間内に退職する人、期間を定めて雇用される人など退職金制度のなじまない人は除かれます。
事業主と生計を一にする同居の親族は加入することができますか。
事業主と生計を一にする同居の親族についても、事業主との使用従属関係等が認められる書類の提出により、従業員であることが確認できれば加入できます。
掛金は誰が負担するのですか。
中小企業退職金共済制度(中退共)は従業員の退職金を確保するための制度です。よって掛金は全額事業主が負担します。一般の制度では月額5,000円から30,000円までの16種類の中から選択することができます。
なお、短時間労働者(パートタイマー)には特例掛金として2,000円から4,000円の3種類も別に用意されています。
中小企業退職金共済制度(中退共)にはどのような助成制度がありますか。
以下のページをご覧ください。
退職する従業員に退職金はどのように支払われますか。
退職金は勤労者退職金共済機構から直接、退職する従業員の預金口座に振り込まれます。
退職金の支払方法は、
- 退職時に一括して受け取る一時払い
- 5年間または10年間にわたって分割して受け取る分割払い
- 一時金払いと分割払いを組み合わせて受け取る一部分割払い(併用払い)
の3つの方法から退職者が選択することができます。分割払い(併用払いを含む)は、退職した日において60歳以上であることや退職金の額が一定の金額以上であることの条件があります。
なお、退職金は加入期間が11月以下の場合は支給されません。また、制度の主旨から長期加入者退職金を手厚くするため、12月以上23月以下の場合は掛金納付総額を下回り、24月以上42月以下では掛金相当額となります。43月からは運用利息と付加退職金が加算され、長期間になるほど有利な計算となります。