全世代型社会保障検討会議 中間報告(②労働)

 2019年(令和元年)12月19日に首相官邸で開かれた全世代型社会保障検討会議で中間報告がまとめられました。少子高齢化を踏まえた提言は来年夏に最終報告がまとめられるようです。

 非常に興味深い項目が多々ありますので、その内容をまとめてみました。

 

 → ①年金 / ③医療 / ④予防・介護

 

 

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70歳までの就業機会確保

  人生100年時代を迎え、働く意欲がある高齢者がその能力を十分に発揮できるよう、高齢者の活躍の場を整備する必要がある。

 就業希望の65歳以上が仕事に就けなかった理由は「適当な仕事が見つからない」が最も多く、そうした回答を行った者の中でも「条件にこだわっていない」が半数を占める。

 また、仕事の見つけ方を見ると、20~40代のインターネット経由やハローワーク経由に比べて、60代の高齢者では前の職場からの紹介が多く、制度的にこのルート を拡充する必要性が高い。

 さらに、65歳以上の労働者の多くは、「自分の都合の良い時間帯に働きたい」という意向を有しており、それぞれの高齢者の特性に応じた活躍のため、とり得る選択肢を広げる必要がある。

 こうした点も勘案し、70歳までの就業機会確保については、個々の労働者の多様な特性やニーズを踏まえ、多様な選択肢を法制度上整え、当該企業としては、そのうちどのような選択肢を用意するか、労使で話し合う仕組み、また、当該個人にどの選択肢を適用するか、企業が当該個人と相談し、本人の希望を勘案して選択ができるような仕組みとする。

 具体的には、70歳までの就業機会の確保を円滑に進める観点から、法制を二段階に分けた上で、まず、第一段階の法制の整備を図る。

 第一段階の法制では、以下の選択肢を明示した上で、事業主としていずれかの措置を制度化する努力規定を設ける。必要があると認める場合は、厚生労働大臣が、事業主に対して、個社労使で計画を策定するよう求め、計画策定について履行確保を求めることができることとする。

 雇用による措置
  1. 定年廃止
  2. 70歳までの定年延長
  3. 定年後又は65歳までの継続雇用終了後も70歳まで引き続いて雇用 (又は関係事業主(子会社・関連会社等)が雇用を確保) 【→(注)その際、関係事業主(子会社・関連会社等)との間で、定年後又は65歳までの継続雇用 終了後に70歳まで引き続いて雇用することを約する契約を締結 】
  4. 定年後又は65歳までの継続雇用終了後、(関係の事業主以外の)再就職の実現 【→(注)その際、当該事業主との間で、70歳まで雇用する契約を締結するか、又は5年以内の期 間の業務に従事する等の事由により、70歳まで就業ができない場合、元の企業又は再就職 先の企業において、当該者について措置を講じる努力を行う】
 雇用以外の措置
  1. 定年後又は65歳までの継続雇用終了後に創業(フリーランス・起業)する 者との間で、70歳まで継続的に業務委託契約を締結
  2. 定年後又は65歳までの継続雇用終了後に以下のいずれかの事業による活動 に70歳まで継続的に従事する
  • 事業主が自ら実施する事業
  • 事業主が委託、助成、出資等するNPO等の団体が行う事業

 なお、事業主が「雇用による措置」を講じず、「雇用以外の措置」を講じる場合、労使が合意する努力を行うこととする。2020年の通常国会において、第一段階の法案提出を図る。

 第二段階の法制では、第一段階の進捗を踏まえて、現行法のような企業名公表に よる担保(いわゆる義務化)のための法改正を検討する。この際、かつての立法例のように、健康状態が良くない、出勤率が低いなどで労使が合意した場合について、適用除外規定を設けることについて検討する。

  こうした法制の整備に併せて、高齢者のモチベーションや納得性に配慮しつつ、能力及び成果を重視する評価・報酬体系の構築を進める。さらに、高齢者を雇用する上で、加齢による身体機能の低下等を踏まえ、労働災害防止や健康確保の観点から対策を講じ、高齢者が安心して安全に働ける職場環境の構築を支援する。加えて、 高齢期を見据えたキャリア形成支援・リカレント教育を推進する。

 

中途採用・経験者採用の促進

 人生100年時代を踏まえ、働く意欲がある労働者がその能力を十分に発揮できる よう、雇用制度改革を進める必要がある。特に大企業に伝統的に残る新卒一括採用中心の採用制度の見直しを図ると同時に、通年採用による中途採用・経験者採用の 拡大を図る必要がある。

 採用者全体に占める中途採用・経験者採用比率は、企業規模が大きくなるに従って減少する。すなわち、従業員数5,000人以上の規模では、37%にとどまる。

 このような中で、転職希望者が中途採用に関して企業に開示して欲しい情報は、「正規雇用の中途採用実績」の割合が54%と最も多く、特に大企業については、この部分の開示を求めていく必要性が高い。

 こうした点を勘案し、個々の大企業に対し、中途採用・経験者採用比率の情報公表を求めることとする。具体的には、労働施策総合推進法を改正し、大企業(301人以上規模)における「正規雇用労働者の中途採用・経験者採用比率」を公表することとし、2020年の通常国会に必要な法案の提出を図る。その際、公表方法としては、インターネットの利用その他の方法により、求職者等が容易に閲覧できるようにする。

 なお、企業は、必要に応じ、例えば、「中高年層の中途採用・経験者採用比率」、「正規雇用労働者のうち前職が非正規雇用労働者・無業者の中途採用・経験者採用 比率」、「管理職の中途採用・経験者採用比率」、「役員の中途採用・経験者採用比率」なども加えて、公表することができることとする。

 

兼業・副業の拡大

 兼業や副業は、新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、そして第2の人生の準備として有効である。足下では、副業を希望する者は増加傾向にあるものの、実際に副業がある者の数は横ばいである。副業経験が本業の賃金に与える影響を分析した研究では、思考・分析といった高度人材では、副業をしている人が、そうでない人よりも本業での賃金が36%高くなっている。このことは、企業の境界を低くし、従業員に兼職させることで、本業の価値が高まり得ることを示唆している。

 一方、兼業・副業の解禁に積極的な企業は2割程度にとどまる。企業が兼業・副業を認めていない理由には、「過重労働への懸念」、「労働時間の管理・把握の困難さへの懸念」が多い。

 これらを払拭できる制度整備が課題であり、兼業・副業に係る労働法制における労働時間規制及び割増賃金の取扱いについて、最終報告に向けて検討していくこと とする。

 

フリーランスなど、雇用によらない働き方の保護の在り方

 技術の進展により、インターネットを通じて短期・単発の仕事を請け負い、個人で働く新しい就業形態が増加しており、特に、高齢者の就業機会の拡大に貢献することが期待される。多様な働き方の一つとして、希望する個人が個人事業主・フリーランスを選択できる環境を整える必要がある。

 一方、フリーランスと呼ばれる働き方は多様であり、労働政策上の保護や競争法による規律について様々な議論がある。このような議論があることも踏まえ、内閣官房において、関係省庁と連携し、一元的に実態を把握・整理した上で、最終報告に向けて検討していくこととする。

 

 

 

 

 

 

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