全世代型社会保障検討会議 中間報告(③医療)

 2019年(令和元年)12月19日に首相官邸で開かれた全世代型社会保障検討会議で中間報告がまとめられました。少子高齢化を踏まえた提言は来年夏に最終報告がまとめられるようです。

 非常に興味深い項目が多々ありますので、その内容をまとめてみました。

 

 → ①年金 / ②労働 / ④予防・介護

 

 

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医療提供体制の改革

 人生100年時代において国民の安心を確保するため、以下のような医療を取り巻く課題を踏まえ、健康を望む国民一人一人の自主的な取組を可能とする環境を整備するとともに、地域包括ケアシステムの構築、さらには地域共生社会の実現に向けた取組を進めることが重要である。疾病予防・早期対応から病気を抱えた後もその 生活を支える医療のあるべき姿を見据え、地域医療の基盤を維持していくことが必 要である。

  • 団塊の世代が75歳以上を迎える中での高齢化による需要拡大への対応
  • 生産年齢人口が減少する中での地域医療の確保
  • 平均寿命の伸びを上回る健康寿命の延伸へ向けた予防・健康づくりの強化、セルフケア・セルフメディケーションの推進、ヘルスリテラシーの向上
  • 働き方改革に対応した医師の職場環境の変化と地域医療の確保の両立
  • ゲノム医療等最先端医療の導入やデータヘルス改革の推進

 具体的には、地域医療構想の推進、地域間・診療科間の更なる医師偏在対策、卒前・卒後の一貫した医師養成課程の整備、地域における看護職員をはじめとする医 療関係人材の確保・育成、看護師・歯科衛生士等の復職支援・定着の推進、医師・歯科医師等の働き方改革、医療職種の役割分担の見直しにより、地域差を伴う「高齢化による需要増大」と「支え手減少」の進展などの環境変化に対応し、質の向上と効率改善を図り、地域で必要な医療を確保する。

 あわせて、外来機能の明確化とかかりつけ医機能の強化(後述)、在宅医療・歯科医療の更なる深化と推進、訪問看護体制の強化、中山間地を含む適切な遠隔医療 の推進、健康・医療情報の連携・活用を含む健康寿命延伸のための食の確保・健康づくり・早期治療・重症化予防、医療といった一貫した施策の構築、地域における 医科歯科連携を含む歯科医療機関の強化、地域における薬剤師・薬局機能の強化、医師の負担軽減の観点を含めた医療のかかり方の変容へ向けた取組促進、尊厳と意思の尊重された人生の最終段階の迎え方支援に取り組むことにより、患者中心の医療を深化させる。そのためにも、学校等における社会保障教育に加え、「かかりつけ医」・「かかりつけ歯科医」・「かかりつけ薬剤師」を通じた、また保険者を通 じた社会保障教育の充実が必要である。

 さらに、安全で質の高い先端的医療の普及、革新的な医薬品、医療機器等が生み出される環境整備、必要不可欠な医薬品の安定供給体制の確保により、必要な医療を迅速に国民に届ける。

 

大きなリスクをしっかり支えられる公的保険制度の在り方

後期高齢者の自己負担割合の在り方

 人生100年時代を迎える中、高齢者の体力や運動能力は着実に若返っており、高い就業意欲の下、高齢期の就労が大きく拡大している。こうした中で、年齢を基準に「高齢者」と一括りにすることは現実に合わなくなっており、元気で意欲ある高 齢者が、その能力を十分に発揮し、年齢にかかわりなく活躍できる社会を創る必要がある。

 このため、70歳までの就業機会確保や、年金の受給開始時期の選択肢の拡大による高齢期の経済基盤の充実を図る取組等に併せて、医療においても、現役並み所得の方を除く75歳以上の後期高齢者医療の負担の仕組みについて、負担能力に応じたものへと改革していく必要がある。これにより、2022年にかけて、団塊の世代が75歳以上の高齢者となり、現役世代の負担が大きく上昇することが想定される中で、現役世代の負担上昇を抑えながら、全ての世代が安心できる社会保障制度を構築する。

 具体的には、以下の方向性に基づき、全世代型社会保障検討会議において最終報告に向けて検討を進める。同時に、社会保障審議会においても検討を開始する。遅くとも団塊の世代が75歳以上の高齢者入りする2022年度初までに改革を実施できるよう、最終報告を取りまとめた上で、同審議会の審議を経て、来年夏までに成案を得て、速やかに必要な法制上の措置を講ずる。

  • 後期高齢者(75歳以上。現役並み所得者は除く)であっても一定所得以上の方については、その医療費の窓口負担割合を2割とし、それ以外の方については1割とする。
  • その際、高齢者の疾病、生活状況等の実態を踏まえて、具体的な施行時期、2割負担の具体的な所得基準とともに、長期にわたり頻繁に受診が必要な患者の高齢者の生活等に与える影響を見極め適切な配慮について、検討を行う。

ポイント

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大病院への患者集中を防ぎ かかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大

 2022年にかけて団塊の世代が75歳以上の高齢者となる中で、慢性疾患による受療が多い、複数の疾病を抱えるなどの特徴を持つ高齢者医療のウエイトがますます高まっていく。医療のアクセスや質を確保しつつ、病院勤務医・看護師等の過酷な勤務環境を改善して持続可能な医療提供体制を確保していくためには、地域医療構想 の推進や医師等の働き方改革、医師偏在対策を進めるとともに、地域密着型の中小病院・診療所の在り方も踏まえ、外来機能の明確化とかかりつけ医機能の強化を図ることが不可欠である。

 医療のあるべき姿は、「病院完結型」の医療から、患者の住み慣れた地域や自宅での看取りを含めた生活のための医療、地域全体で治し、支える「地域完結型」の医療に変わりつつあり、身近なところで診療を受けられる「かかりつけ医」の普及 や訪問看護の充実が不可欠となる。大病院は充実した人員配置や施設設備を必要とする入院医療や重装施設を活用した専門外来に集中し、外来診療は紹介患者を基本とする。一般的な外来受診はかかりつけ医機能を発揮する医療機関が担う方向を目指す。このことが、患者の状態に合った質の高い医療の実現のみならず、限りある医療資源の有効な活用や病院勤務医・看護師をはじめとする医師等の働き方改革にもつながる

 このような考え方の下、外来受診時定額負担については、医療のあるべき姿として、病院・診療所における外来機能の明確化と地域におけるかかりつけ医機能の強化等について検討を進め、平成14年の健康保険法改正法附則第2条を堅持しつつ、大病院と中小病院・診療所の外来における機能分化、かかりつけ医の普及を推進する観点から、まずは、選定療養である現行の他の医療機関からの文書による紹介がない患者の大病院外来初診・再診時の定額負担の仕組みを大幅に拡充する。

 具体的には、以下の方向性に基づき、全世代型社会保障検討会議において最終報告に向けて検討を進める。同時に、社会保障審議会及び中央社会保険医療協議会においても検討を開始する。遅くとも 2022年度初までに改革を実施できるよう、最終報告を取りまとめた上で、同審議会等の審議を経て、来年夏までに成案を得て、速やかに必要な法制上の措置を講ずる。

  • 他の医療機関からの文書による紹介がない患者が大病院を外来受診した場合に 初診時5,000円・再診時2,500円以上(医科の場合)の定額負担を求める制度について、これらの負担額を踏まえてより機能分化の実効性が上がるよう、患者の負担額を増額し、増額分について公的医療保険の負担を軽減するよう改めるとともに、大病院・中小病院・診療所の外来機能の明確化を行いつつ、それを踏まえ対象病院を病床数200床以上の一般病院に拡大する。
  •  具体的な負担額や詳細設計を検討する際、患者のアクセスを過度に制限しないよう配慮しつつ、病院・診療所の機能分化・連携が適切に図られるよう、現行の定額負担の徴収状況等を検証し、定額負担を徴収しない場合(緊急その他やむをえない事情がある場合、地域に他に当該診療科を標榜する保険医療機関がない場合など)の要件の見直しを行う。

ポイント

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