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老齢年金 繰上げ受給の損益分岐点と生存確率

 先日、年金改革法が成立しました。年金の繰上げ減額率は、2022(令和4)年4月以降は1か月につき0.4%と現在の1か月につき0.5%から縮小されます。

 そもそも年金は「長生きをして働けなくなり収入を得られなくなる」ことを保険事故とする保険ですから、繰上げ受給に際して損得勘定を考えることはナンセンスと個人的には思っています。

 しかし、今日の日経にも「減額、長生きで不利に」とあまりにも当たり前のことが見出しになるくらいなので、もう一歩先に進み、厚生労働省が公表している「平成30年簡易生命表」を使って損得勘定の確率を計算してみました。

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 この表の見方は、例えば0歳100,000人の集団は5歳になったときに99,735人しか残っていないということです。つまり生存率は99,735÷100,000=99.73%ということです。

 同様に5歳の99,735人は10歳になったときに99,697人になっているということなので、5歳の人が10歳のときに生存している確率は99,697÷99,735=99.96%ということになります。

 

現行制度の繰上げ受給

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 現行制度において減額率は1か月に0.5%なので1年=12か月では6%になります。つまり原則65歳からの受給を5年前倒しにして60歳から老齢年金もらうことにすれば、30%減額された本来の70%分の年金を一生涯もらい続けることになります。

 

 5年早く年金をもらい始めるわけですが、ある日、原則通り65歳から年金をもらい始めたケースと比較して、トータルの年金額が逆転される日が来ます。このケースではその損益分岐年齢が76歳8か月になるということです。

 つまり、支給の繰上げをして、なおかつ損益分岐年齢を越えて生きていれば「損になる」ということです。損益分岐年齢は何歳から受給を開始しても、その開始から16年8か月後にやってきます。ということは、余命が16年8か月を下回ったと思えば繰り上げた方が「トク」ということ!?

 

 次に60歳の人が77歳(端数を切り上げます)まで生きる確率を見てみましょう。簡易生命表を使って計算すると男性76.6%、女性89.4%が損益分岐年齢を越えてなお生存しています。

 結論は、「年金を繰り上げると大半の人はトータルで損になる」ということです。

 

改正法による繰上げ受給

 2022(令和4)年4月以降は繰上げ減額率が1か月につき0.5%から0.4%に縮小されます。その場合の損益分岐年齢などは、以下の表のようになります。

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 減額率が縮小された分、損益分岐年齢は上昇します。また、損益分岐年齢が上昇するため「トク」になるケースの確率が低くなります。

 60歳で受給開始の場合を比較すると、改正により「トク」をする人の確率は男性で76.6%→65.4%、女性で89.4%や→82.9%と減少します。

 つまり、単純に「いつまで生きるか」という視点だけで言えば、繰り上げて年金をもらう方が損になる確率が高いということです。こちらの損益分岐年齢は受給開始から20年10か月後なので、法改正後は余命が20年10か月を下回ったと思えば繰り上げた方が「トク」ということですね(笑)

 

 

 

 

 

 

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