わかっているようでよくわからない士業の仕事。誰に頼むか困ったときの参考にしてください。
海事代理士の仕事
士業の中でもあまり馴染みのない海事代理士。
海事代理士は他人の委託により、国土交通省や都道府県等の行政機関に対して、船舶安全法、船員法などの海事関係諸法令の規定に基づく申請、届出、登記その他の手続きをし、又はこれらの手続きに関する書類の作成を業とする専門職をいいます。
海事代理士でなければ 行うことができない業務
海事代理士は、他人の委託により、
別表第一に定める行政機関
- 国土交通省の機関
- 法務局、地方法務局、これらの支局、これらの出張所
- 都道府県の機関
- 市町村の機関
に対し、別表第二に定める法令
- 船舶法
- 船舶安全法
- 船員法
- 船員職業安定法
- 船舶職員、小型船舶操縦者法
- 海上運送法
- 港湾運送事業法
- 内航海運業法
- 港則法
- 海上交通安全法
- 造船法
- 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律
- 国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律(国際港湾施設に係る部分を除く。)
- 領海等における外国船舶の航行に関する法律
- 船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律(有害物質一覧表及び同法附則第六条第二項に規定する相当確認船級協会に係る部分に限る。)
- 前各号に掲げる法律に基づく命令
の規定に基づく申請、届出、登記その他の手続をし、及びこれらの手続に関し書類(電磁的記録を含む。)の作成をすることを業とします。(海事代理士法第1条)
海事代理士法第1条に規定する行為は、原則として海事代理士でなければ他人の求めに応じ報酬を得て業とすることができません(海事代理士法第17条)。
ただし、行政書士は、当分の間、他人の委託により、業として
- 船員職業安定法(命令を含む)
- 内航海運業法(命令を含む)
に基づく手続は例外として行うことができます。(海事代理士法附則(平成16年6月2日法律第71号)第19条)
なお、海事代理士でない者がこれらの事務を行った場合、6箇月以下の懲役又は2万円以下の罰金に処せられます(海事代理士法第27条)
司法書士の仕事
司法書士(司法書士法人)でなければ 行うことができない業務
司法書士は、他人の依頼を受けて、以下の事務を行うことを業とします(司法書士法第3条)
- 登記や供託に関する手続について代理すること。
- 法務局や地方法務局に提出し、または提供する書類・電磁的記録を作成すること。
- 法務局や地方法務局の長に対する登記や供託に関する審査請求の手続について代理すること。
- 裁判所や検察庁に提出する書類、筆界特定の手続において、法務局や地方法務局に提出・提供する書類や電磁的記録を作成すること。
- これらの事務について相談に応ずること。
加えて認定司法書士は、以下の事務(簡裁訴訟代理等関係業務)も行うことができます。
- 簡易裁判所における訴訟・請求などの目的が140万円以下となる次の手続について代理すること。(上訴の提起、再審や強制執行に関する事項については代理不可)
イ 民事訴訟法の規定による訴訟手続
ロ 民事訴訟法の規定による和解請求の手続、支払督促請求の手続
ハ 民事訴訟法の規定による訴えの提起前における証拠保全手続、民事保全法の規定による訴訟手続
ニ 民事調停法の規定による調停を求める手続
ホ 民事執行法の規定による少額訴訟債権執行の請求手続 - 簡易裁判所における民事に関する紛争で、紛争の目的の価額が140万円以下のものについて、相談に応じ、仲裁事件の手続や裁判外の和解について代理すること。
- 筆界特定の手続で、固定資産課税台帳の金額など
- により算定される額の合計額の2分の1に相当する額に筆界特定によって通常得られることとなる利益の割合として100分の5を乗じて得た額が140万円以下のものについて、相談に応じ、代理すること。
司法書士法第3条第1項第1号から第5号までにに規定する行為は、原則として司法書士会に入会している司法書士(司法書士法人)でなければ業務を行うことができません(司法書士法第73条)。
なお、司法書士(司法書士法人)でない者がこれらの行為を行った場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(司法書士法第78条)