就業規則は労使間の契約関係の中で最も重要な位置づけになるものです。一般的には就業規則本則のほかに賃金規定、退職金規定、育児・介護休業規定、パートタイマー就業規則なども作成しますが、これらのルールはすべて「就業規則」となります。 就業規則は厚生労働省のHPをはじめ、インターネット上を探せば雛型が見つかります。誰でも簡単に就業規則を作成することはできますか、将来労使トラブルが発生したときにその内容で本当に対処できるのでしょうか。 働き方改革関連法をはじめ労働各法は時代とともにどんどん変化してきています。規模の大小にかかわらず個々の事業場の実情に応じた、そして最新の法律に対応した就業規則の作成が求められています。 |
就業規則なぜ作る必要があるのですか。
就業規則は、勤務時間や服務規律など労働者の就業に関するルールです。法律上、一定の使用者には作成が義務づけられており、モデルとなる就業規則は厚生労働省のHPでも公表されていることから「それらしい就業規則」は簡単に作成できます。
→ 厚生労働省HP モデル就業規則について
しかし、モデル就業規則は厚生労働省が作っているので当然のことながら労働者寄りの内容になっています。法令は当然守らなければいけませんが、社会保険労務士の意見を聴きながら必要な事項を追加しなければいけません。
労働者の権利がより重要視される時代になってきている昨今においては、使用者側が訴えられるリスクなどを考えると個別の事業所にマッチした就業規則をきちんと作成する必要があります。
その結果、労働者も安心して働ける職場となり、事業の成長につながると考えます。
就業規則の作成を外部に依頼する場合、誰に頼んだらよいのですか。
社会保険労務士に頼みましょう。
就業規則の作成は社会保険労務士の独占業務ではないとする主張もあります。しかし、社会保険労務士は行政書士や税理士とは異なり労働法に関する専門家です。また、弁護士は訴訟になってからの法律に強く、社会保険労務士は訴訟を回避するための法律に強い専門家です。
要するに、事業のリスク管理を考慮すれのであれば就業規則は誰でも作れるというものではありません。
就業規則に記載する事項に必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」とは何ですか。
「絶対的必要記載事項」は次のとおりです。
[労働時間関係]
- 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇
- 労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合は就業時転換に関する事項
[賃金関係]
- 賃金の決定、計算及び支払の方法
- 賃金の締切り及び支払の時期
- 昇給に関する事項
[退職関係]
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
就業規則に各事業場内でルールを定める場合には記載しなければならない「相対的必要記載事項」とは何ですか。
「相対的必要記載事項」は次のとおりです。
[退職手当関係]
- 適用される労働者の範囲
- 退職手当の決定、計算及び支払の方法
- 退職手当の支払の時期に関する事項
[臨時の賃金・最低賃金額関係]
- 臨時の賃金等(退職手当を除く)
- 最低賃金額に関する事項
[費用負担関係]
- 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせることに関する事項
[安全衛生関係]
- 安全・衛生に関する事項
[職業訓練関係]
- 職業訓練に関する事項
[災害補償・業務外の傷病扶助関係]
- 災害補償・業務外の傷病扶助に関する事項
[表彰・制裁関係]
- 表彰・制裁の種類・程度に関する事項
[その他]
- 事業場の労働者すべてに適用されるルールに関する事項
就業規則の内容が法令に反していた場合はどうなりますか。
就業規則の内容が法令や労働協約に反していた場合、所轄の労働基準監督署長は労働基準法第92条により変更を命ずることができます。