令和2年11月版 モデル就業規則の変更点

f:id:office_aya:20190921060700p:plain


 厚生労働省のHPで公表されているモデル就業規則の最新版が、平成31年3月版から令和2年11月版になりました。今、なぜ改正版が公表されたのか、ちょっと気になったので調べてみました。条文で変更のあった箇所を中心に解説します。

 

f:id:office_aya:20201207213846p:plain

 


 

f:id:office_aya:20191005140448g:plain

 


 

副業・兼業(第68条②③)は文章の整理

 結論!

 今回、モデル就業規則を新しくした理由は、おそらく副業・兼業の項目を充実させたかったものだと思われます。

f:id:office_aya:20201206220304j:plain

 平成31年版では「労働者は、~ 事前に、会社に所定の届出を行うものとする」となっていましたが、令和2年版は主語が「会社は」となり、「労働者からの ~ 届出に基づき」とかなりトーンが緩くなっています。

 これは令和2年9月に改定された「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が、副業・兼業の状況を把握する方法について整理したことによる反映と思われます。

 

 なお、届出についての考え方は、次のように解説文が追加されています。

 就業規則において、副業・兼業を行うことや、その内容・労働時間等についての労働者からの届出を定めていた場合に、労働者から届出がなされずに副業・兼業が行われたことを把握したときについては、まず、労働者に届出を求め、本条第2項各号で規定したような場合に該当しないかの確認や、該当しない場合であって労働時間の通算の対象となるときにおいては、他の使用者の事業場における所定労働時間等の確認を行い、適切に、労働時間の管理を行いつつ、労働者が副業・兼業を行うことができるようにすることが望ましいです。

 

 ただ、労働内容や時間の管理を使用者へ厳密に求めている割には労働者へ求めるものが緩くなっており、厚生労働省は かなりの無理難題を使用者に求めているような気がしてなりません。

【参考】厚生労働省HP「副業・兼業

 

休暇等の賃金(第41条②)は不足事項を追加

f:id:office_aya:20201206220352j:plain

 平成31年版の解説には以下の通り記載されています。

 産前産後の休業期間、育児時間、生理休暇、母性健康管理のための休暇、育児・介護休業法に基づく育児休業期間、介護休業期間、子の看護休暇期間及び介護休暇期間、裁判員等のための休暇の期間、慶弔休暇、病気休暇、休職の期間を無給とするか有給とするかについては、各事業場において決め、就業規則に定めてください。

 つまり、解説文には記載していたものの条文に反映されていなかったため、今回追加したものと考えられます。

 

解雇(第51条③)は誤植の訂正

f:id:office_aya:20201206220324j:plain

 これは明らかに誤植の訂正です。「第66条第65条第1項第4号」を「第65条第1項第4号」に訂正しています。

 モデル就業規則をよく読み込まずにコピペしただけの就業規則を作成しているところは要注意ですかね。

 

退職(第50条)は民法改正により解説文を一部削除

 条文の変更ではないのですが、退職(第50条)は従来は記載されていた赤文字(下線部)の解説文が削除されています。

1 期間の定めのない雇用の場合、労働者はいつでも退職を申し出ることができます。また、会社の承認がなくても、民法(明治29年法律第89号)の規定により退職の申出をした日から起算して原則として14日を経過したときは、退職となります(民法第627条第1項)。

 なお、月給者の場合、月末に退職を希望するときは当月の前半に、また、賃金締切日が20日でその日に退職したいときは20日以前1か月間の前半に退職の申出をする必要があります(民法第627条第2項)。

 

 旧モデル就業規則が公表された平成31年3月当時の民法第627条の規程は以下の通りでした。

(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)

第627条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。

2 期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。

3 6箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、3箇月前にしなければならない。

 

 一方、令和2年4月に施行された改正民法では、第2項に「使用者からの」 という文言が入りました。(第1項と第3項は改正なし)

 2 期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。

 

 期間によって報酬を定めた場合、次期以後について解約の申入れができるとする規定は、従来「使用者にも労働者にも」適用できるとされていました。しかし、今回の改正により労働者からの解約の申入れは第1項(民放では「各当事者」となっているが、特別法である労働基準法で使用者には別のルールが適用されるので実質的にこの規定は労働者しか使えない)が、使用者からの解約の申入れは第2項が適用されると整理されました。

 簡単に言えば、労働者からの退職申入れは次期以後についてでなくてもよくなり、申入れから2週間が経過すれば雇用契約が終了するということです。

 

 なお、第3項は「前項の~」となっているため文言は旧法と同じですが、第2項の適用が「使用者も労働者も」から「使用者のみ」になったことから、自動的に使用者のみに適用される条文へと変わっています。

 

 

 

 

 

プライバシーポリシーはこちら