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国民年金や厚生年金などの「公的年金」や確定拠出年金(DC)などの「私的年金」、障害年金、社長の年金戦略などの年金エキスパートです。併せて企業戦略・防衛に即した退職金制度設計や就業規則の見直しを得意としています。

退職金等にかかる税金

ポイント

  退職所得にかかる税金は、「退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)」が提出されている場合は、
  (退職金等-退職所得控除額)×1/2×税率
となります。

 一方、「退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)」が提出されない場合、は一定の率で源泉徴収されるので、本人は確定申告で精算することになります。

  

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 退職所得にはどのような収入が該当しますか。

 

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 一般的に退職金といわれる一時金収入はもちろん該当しますが、その他にも確定給付企業年金や確定拠出年金などの給付であっても老齢や退職を事由とする一時金の収入であれば退職所得に該当します。逆に、年金により支払われる給付は退職所得に該当しません。

→ 退職所得となる収入 f:id:office_aya:20200412113555g:plain

 

 

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 退職所得にはどのような優遇措置がありますか。

 

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 退職所得には以下のような優遇措置があります。

  1. 他の所得とは分離して退職金等だけ独立して税額を計算します。
  2. 勤続年数に応じた退職所得控除があります。
  3. 原則として所得控除後の金額を2分の1に圧縮した金額に課税されます。(例外:勤続年数が5年以下の法人役員、公務員など)

 

 

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 従業員が退職に際して「退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)」を提出しない場合、所得税の源泉徴収税額の計算はどのようにすればよいですか。

 

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 退職手当等の支給額に20.42%の税率を乗じて計算した所得税及び復興特別所得税の額を源泉徴収します。この場合は勤続年数により計算する退職所得控除額の計算は必要なく、実際の支給額に税率を乗じて計算します。

 なお、税額の精算は本人が確定申告により行うことになります。

 また、住民税は「退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)」を受けている場合と同様に計算します。

 

[計算例]

  退職金の支給額が800万円の場合

  退職金の支給額×20.42%=800万円×20.42%=1,633,600円

  源泉徴収する所得税及び復興特別所得税額:1,633,600円

 

 

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 従業員が退職に際し「退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)」を提出した場合、退職金にかかる税金の具体的な計算方法はどのようになりますか。

 

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 退職金等にかかる税金=退職所得×税率
 退職所得=(退職金等-退職所得控除額)×1/2  となります。

 

[計算例]

≪例1≫

退職金の支給額が800万円、勤続年数が10年2か月の場合
イ 勤続年数11年(1年未満の端数は1年に切上げ)
ロ 退職所得控除額 40万円×イの勤続年数
  =40万円×11年=440万円
ハ 課税退職所得金額 (退職金の支給額-ロ)×1/2
  =(800万円-440万円)×1/2=180万円
ニ 源泉徴収税額税額 (ハ×税率-控除額)×1.021
  =180万円×5%×1.021=91,890円
ホ 市町村民税額 (ハ×税率)=180万円×6%=108,000円
ヘ 都道府県民税額 (ハ×税率)=180万円×4%=72,000円

 

≪例2≫

退職金の支給額が2,300万円、勤続年数が29年2か月の場合
イ 勤続年数30年(1年未満の端数は1年に切上げ)
ロ 退職所得控除額 800万円+70万円×(イの勤続年数-20年)
  =800万円+70万円×10年=1,500万円
ハ 課税退職所得金額 (退職金の支給額-ロ)×1/2
  =(2,300万円-1,500万円)×1/2=400万円
ニ 源泉徴収税額税額 (ハ×税率-控除額)×1.021
  =(400万円×20%-427,500円)×1.021=380,322.5円
       ⇒380,322円(1円未満の端数は切り捨て)
ホ 市町村民税額 (ハ×税率)=400万円×6%=240,000円
ヘ 都道府県民税額 (ハ×税率)=400万円×4%=160,000円

 

 

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 退職所得控除額の具体的な計算方法はどのようになりますか。

 

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 勤続年数が20年までは1年につき40万円(最低保証80万円)、20年以上は1年につき70万円となります。なお、勤続年数に1年未満の端数がある場合は1年に切り上げます。

[計算式]
退職所得控除額の計算

(例) 勤続年数が24年3月→端数切り上げて25年
  退職所得控除額=800万円+70万円×(25年-20年)=1150万円

 

 

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 確定拠出年金の場合、何を勤続年数とするのですか。

 

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 掛金を拠出した期間が勤続年数になります。

 従前は退職所得控除の勤続年数に60歳以降の期間を含みませんでしたが、平成26年1月からは60歳以降の期間も含むように税法解釈が変更されました。

 なお、受給開始年齢を判定するための通算加入者等期間には60歳以降の期間は含まれませんので注意が必要です。

[参考]

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 退職一時金と確定拠出年金の老齢一時金を同じ年に受給しました。退職所得控除額はどのように計算するのですか。

 

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 以下の事例の場合、2020年の退職所得の計算は収入額1,300万円(=1,000万円+300万円)、退職所得控除額は940万円となります。

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退職一時金(1999年4月~2020年3月末)支給額1,000万円
DC一時金  (2009年2月~2020年9月末)支給額300万円

 

イ 長い方の期間(退職一時金)勤続年数21年0月(調整なし)
ロ 非重複期間6月(調整なし)
ハ イ+ロ=21年6月→22年(1年未満の端数は1年に切上げ)
  退職所得控除額 940万円(=800万円+70万円×(22年-20年))

 

 

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 確定拠出年金の老齢一時金を受給する前年以前14年の間に退職一時金を受給しています。以前受給した退職一時金の税額計算では退職所得控除額を全部使い切り税額が発生しました。今回の退職所得控除額はどのように計算するのですか。 

 

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 以下の事例の場合、2020年の退職所得の計算は収入額300万円、退職所得控除額は80万円となります。

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退職一時金(1999年4月~2019年11月末)支給額1,000万円
DC  一時金(2009年2月~2020年3月末)  支給額300万円

 

イ 前回退職一時金の勤続年数20年8月→21年(1年未満の端数は1年に切上げ)
  退職所得控除額870万円<1,000万円(控除不足なし
ロ 重複期間10年10月→10年(1年未満の端数は切捨て
  退職所得控除額400万円
ハ 今回DC一時金の勤続年数11年2月→12年(1年未満の端数は1年に切上げ)
  本来の退職所得控除額480万円
ニ 今回DC一時金の税額計算上の退職所得控除額80万円(=480万円-400万円)

 

 なお、退職一時金を受給する前年以前4年の間に退職一時金を受給している場合も同じ計算方法になります。

 

 

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 確定拠出年金の老齢一時金を受給する前年以前14年の間に退職一時金を受給しています。以前受給した退職一時金の税額計算では退職所得控除額を全部使い残しており税額は発生しませんでした。今回の退職所得控除額はどのように計算するのですか。

 

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 以下の事例の場合、2020年の退職所得の計算は収入額300万円、退職所得控除額は同額(計算上は400万円)となり、所得税はゼロになります。

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退職一時金(1999年4月~2019年11月末)支給額500万円
DC  一時金(2009年2月~2020年3月末)  支給額300万円

 

イ 前回退職一時金の勤続年数20年8月→21年(1年未満の端数は1年に切上げ)
  退職所得控除額870万円>500万円(控除不足あり
ロ みなし勤続期間500万円÷40万円=12.5年→12年(1年未満の端数は切捨て
ハ みなし勤続期間との重複期間2年2月→2年(1年未満の端数は切捨て
  退職所得控除額80万円
ニ 今回DC一時金の勤続年数11年2月→12年(1年未満の端数は1年に切上げ)
  本来の退職所得控除額480万円
ホ 今回DC一時金の税額計算上の退職所得控除額400万円(=480万円-80万円)

 

 なお、退職一時金を受給する前年以前4年の間に退職一時金を受給している場合も同じ計算方法になります。

 

 

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 退職する従業員には病気による休職期間がありました。この期間は退職所得控除額の計算をする際に勤続年数に算入することができますか。 

 

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 勤続年数に算入することができます。長期の欠勤や病気での休職の期間も勤続年数に含めて計算します。 

 

 

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 退職所得を算出後、税額はどのように計算したらよいですか。

 

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 所得税の源泉徴収は次の速算表を使って計算します。

退職所得速算表

 なお、住民税は 退職所得金額×10%(市町村民税(特別区民税)6%、都道府県民税4%)を特別徴収します。住民税の納付先は退職手当等の支払を受けるべき日の属する年の1月1日に居住する市町村になります。
 

 

 

 

 

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