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使用者の一方的な休業時に支払いが義務付けられる 休業手当

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ポイント

 使用者の責任による休業の場合、労働者に平均賃金の6割以上の手当を支払うことを義務付けています。罰則付きの法律で6割以上の支払を確保していますが、残りの分が免除になるわけでありません。あくまでも労働者が民法上請求できるのは「全額」であることを意識すべきです。

 

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  休業手当とはどのような手当ですか。

 

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 使用者の都合による休業で労働者が働けなくなったとき、労働者は民法の危険負担(民法536②)や受領遅滞(民法413)により賃金や損害賠償を請求することができます。

 しかし、その請求は民事訴訟を提起しなければならないなどハードルが高くなってしまうため、労働基準法では使用者による一方的な休業により労働者の生活が脅かされることがないよう、使用者の責任による休業の場合は平均賃金の6割以上の手当を支払うことを義務付けています。これを休業手当といいます。

 つまり、使用者に休業の責任がある限り、働けなかった労働者は労働(弁済)の提供(民法492)の有無に関わらず6割以上の休業手当の支払いを受けることができるということです。

 なお、休業手当を受け取ったとしても労働者は残り4割の請求権を放棄したわけではありませんから、使用者に対して未払い分の支払いを請求することができます。 

 

 

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 「使用者の責任による休業」(使用者の責に帰すべき事由)とはどのような場合のことですか。

 

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 次の場合は使用者の責任による休業に該当する例になります。

  • 材料不足、輸出不振、資金難、不況等の経営障害による休業(昭和23.6.11基収1998号)
  • 解雇予告又は解雇予告手当の支払をすることなくに解雇した場合の予告期間中の休業(昭和24.7.27基収1701号)
  • 新規学卒採用内定者のいわゆる自宅待機期間(昭和63.3.14基発150号)

 

 一方、次の場合は使用者の責任に該当しない例です。

  • 天災地変等の不可抗力による休業
  • 労働安全衛生法の規定による健康診断の結果に基づく休業(昭和23.10.21基発1529号、昭和63.3.14基発150号)
  • 社会通念上正当と認められるロックアウト(作業所閉鎖)による休業(昭和23.6.17基収1953号)
  • 災害等による臨時の必要がある場合における時間外労働等による代休付与命令による休日、休憩(昭和23.6.16基収1935号)
  • 電力不足の緩和等のため送電を一時停止すること(休電)による休業(昭和26.10.11基発696号)

 

 

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 今般の新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合、休業手当はどのようにすべきですか。

 

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 新型コロナウイルスに関する休業手当の支払いには雇用調整助成金を受け取ることができる対象になる場合があります。詳細は厚生労働省のHPでご確認ください。

 

 

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 就業規則で休日と定められている日も休業手当を支払う対象の日になるのですか。

 

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 労働基準法で定める休業手当は、民法第536条第2項(債務者の危険負担等の規定)によって全額請求し得る賃金のうち平均賃金の6割以上を保障しようとする趣旨のものです。よって、労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日については、休業手当を支給する義務は生じません。(昭和24.3.22基収4077号)

 

 

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 1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責任による休業がなされた場合は休業手当の要否をどのように計算すればよいのですか。

 

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 休業がなされた場合はその日について平均賃金の6割に相当する金額を支払わなければなりません。よって、現実に就労した時間に対して支払われる賃金が平均賃金の6割に相当する金額に満たない場合はその差額を支払わなければなりません。(昭和27.8.7基収3445号)



 

 

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 当社は土曜日の所定労働時間を4時間と他の日より短く定めています。土曜日の休業手当の額は他の日より安くなるのですか。

 

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 労働基準法は、休業期間中平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければならないと規定しています。そのため、週のある日の所定労働時間がたまたま短く定められていても、その日の休業手当も他の日と同じように平均賃金の6割に相当する額を支払わなければいけません。(昭和27.8.7基収3445号)

 

 

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 休業手当はいつ支払わなければいけませんか。

 

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 休業手当については支払期日に関する明文の定めがありません。しかし、休業手当は賃金と同じ性格のものになりますから、通常の賃金と同様に所定賃金支払日に支払うべきものとされています。

 

 

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 休業手当は税務上、どのように取り扱われますか。

 

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 休業手当は賃金と同じ性格のものであることから給与所得になります。したがって、通常の給与支払いと同様に支払者は源泉所得税の手続きを行わなければなりません。

→ 国税庁のHP

 

 

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 派遣労働者への休業手当は派遣先、派遣元のどちらが支払う義務があるのですか。

 

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 派遣中の労働者の休業手当について、使用者の責任による休業かどうかの判断は派遣の使用者についてなされます。

 したがって、派遣先の事業場が天災地変等の不可抗力によって操業できないために派遣されている労働者をその派遣先の事業場で就業させることができない場合であっても、それが使用者の責任による休業ではないとは必ずしもいえません。派遣元の使用者についてその労働者を他の事業場に派遣する可能性等を含めて判断し、使用者の責任による休業かどうかを判断することになります。(昭和61.6.6基発333号)
 

 

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 休業手当を支払わないとどのような罰則が科せられますか。

 

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 30万円以下の罰金に処せられます。(労基法120)

 なお、この他に裁判所は労働者の請求によって未払い分の休業手当と同一額の付加金(つまり休業手当の倍の金額)の支払いを命じることができます。(労基法114)


 

 

 

 

 

 

 

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