その残業代の計算方法は間違っていませんか?

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賃金請求権の消滅時効期間の延長

 令和2(2020)年4月以降に支払期日が到来する全ての労働者の賃金請求権の消滅時効期間について、従来は賃金支払期日から2年であったものが5年(当分の間は3年)に延長されました。

 つまり、労働者からの申し出などにより遡って賃金の支払いが生じたとき、今までの1.5倍(2年分→3年分)を支払う必要があり、企業側のリスクはそれだけ増えていると認識するべきです。

 

 時効期間延長の対象となるものは次の通りです。

  • 金品の返還(労基法23条、賃金の請求に限る)
  • 賃金の支払(労基法24条)
  • 非常時払(労基法25条)
  • 休業手当(労基法26条)
  • 出来高払制の保障給(労基法27条)
  • 時間外・休日労働等に対する割増賃金(労基法37条)
  • 年次有給休暇中の賃金(労基法39条9項)
  • 未成年者の賃金(労基法59条)

 なお、退職金請求権(現行5年)の消滅時効期間に変更はありません。

 

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残業代(割増賃金)の算出方法

 残業代を算出するには3つの要素があります。

  1. 時間単価
  2. 残業した時間
  3. 割増率

 これらを掛け合わせたものが、いわゆる残業代となります。

 なお、残業代は36協定がされていない違法な状況下の下でも当然に発生します。また、たとえ労使の合意があった場合でも、残業代を支払わないことは労働基準法に違反になり、使用者には6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

 

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要素1 時間単価とは 

  残業代(割増賃金)の計算において基礎となる単価は次のように決められています。

  • 時間給制 : 時間給額
  • 日給制 : 日給額 ÷ 1日の所定労働時間数
    日によって所定労働時間数が異なる場合には、1週間における1日平均所定労働時間数
  • 週給制 : 週給額 ÷ 週所定労働時間数
    週によって所定労働時間数が異なる場合には、4週間における1週平均所定労働時間数
  • 月給制 : 月給額 ÷ 月所定労働時間数
    月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1月平均所定労働時間数
  • 出来高払制 : 出来高払総額 ÷ 総労働時間数

 

 月給制の場合、時間単価は、「月によって定められた賃金 (月給額)÷ 月平均所定労働時間」によって計算します。しかし、通常は基本給の他にいろいろな手当が支払われています。

 一般に、残業代の計算で賃金額に入れなくてもよい手当等は次のとおりです。

 

 通勤手当、家族手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当

 これらの手当については、労働と直接的な関係が薄く個人的事情に基づいて支給されている賃金であるため、残業代算定の基礎から除外されています。

 ただし、

  • 住宅手当と称していても、住宅に要する費用以外の費用に応じて算定される手当や、住宅に要する費用にかかわらず一律に定額で支給される手当は、残業代算定の基礎となる賃金に算入しなければなりません。
  • 家族手当と称していても、家族数に関係なく一律に支給していれば残業代算定基礎となる賃金に算入しなければなりません。
  • 通勤手当のうち一定額が最低額として距離にかかわらず支給される場合は、その一定額も残業代算定基礎となる賃金に算入しなければなりません。

臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

 臨時に支払われた賃金とは、例えば祝金や見舞金などをいいます。

 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金とは賞与などをいいます。これらの賃金については、主として計算技術上の困難があるために、残業代算定の基礎となる賃金から除外されています。

 

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 なお、 年俸制で毎月払い部分と賞与部分を合計してあらかじめ年俸額が確定している場合の賞与部分は、「臨時に支払われた賃金」及び「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」のいずれにも該当しません。よって、残業代の算定基礎から除外することはできず、賞与部分を含めて確定した年俸額を算定の基礎として残業代を支払わなければなりません。

 たとえば、年棒を1200万円(毎月80万円、夏と冬の賞与時には各120万円を上乗せ)と合意した場合、時間単価は、

80万円 ÷ 月平均所定労働時間  と計算するのではなく、

(1200万円 ÷ 12月) ÷ 月平均所定労働時間 = 100万円 ÷ 月平均所定労働時間

と計算することになります。

 

要素2 残業した時間とは

  残業した時間は「実労働時間-所定労働時間」で計算されます。

 実労働時間とは、労働者が使用者の指揮監督の下にある時間のことで、拘束時間から休憩時間を除いたものをいいます。また、現実に働いている時間のほか、使用者の指揮監督下にあって待機している時間も含まれます。

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  なお、所定労働時間が7時間の会社で10時間の労働をしたとき、

残業時間=10時間-7時間=3時間 となりますが、そのうち割増賃金が加算されるのは法定労働時間(原則8時間)を超えた10時間-8時間=2時間分だけです。

 契約などで決められた所定労働時間によって、必ずしも残業代の全部が割増賃金を含む金額にはならないので注意が必要です。

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要素3 割増率 

 残業代を計算するにあたり3つ目の要素となるのは「割増率」です。

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 なお、「月60時間超」の率について、令和5(2023)年3月31日までは下の表に該当する中小事業主への適用が猶予されています。

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