モデル就業規則(第2条) この規則は誰に適用されるの?(適用範囲)

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 厚生労働省が公表している「モデル就業規則」。今回は第2条(適用範囲)の条文について気付いたところをつらつらと書いてみます。

 


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厚生労働省のモデル就業規則

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  厚生労働省が作成、公開しているモデル就業規則において、もっとも問題と思われるのがこの第2条です。

 いろいろな法律を読んでみるとわかりますが、一般に第1条にはその目的とするところが書かれています。そして第2条は全編を通じて頻繁に出てくる用語をまとめて定義づけしています。定義の条を設けないと、いろいろな場所に「以下「・・・」という。」との定義づけがされてしまい、後ろの条文に進むほど用語の定義がされている条文を探し出すのが大変(印刷物の場合、ですが)になるからです。

 

 モデル就業規則では対象者を「パートタイム労働者を除く労働者」としています。しかし、「労働者」の定義はともかく、「パートタイム労働者」とはどのような働き方をする労働者のことか就業規則からはわかりません。

 厚生労働省ではモデル就業規則の特別規則として「パートタイム労働者の就業規則の規定例」も公表しています。この別規則を見て初めて「パートタイム労働者」が「所定労働時間が1日○時間以内、1週○○時間以内又は1カ月○○○時間以内の契約内容で採用された者」と通常の労働者より短時間で勤務する労働者であることがわかります。

 

フルタイム有期労働者はどうする? 

 では、契約期間が1年のフルタイム労働者はどちらの規則が適用されるのでしょうか。

 モデル就業規則によればフルタイム労働者ですから「パートタイム労働者ではない労働者」となります。すなわち「正社員」と同じ一般の就業規則が適用されることになります。

 同一労働同一賃金だから無期雇用の正社員も有期雇用の年間契約社員も全く同じ条件にする、という考え方がないわけではありません。しかし、例えば長期休業制度は無期雇用の正社員が前提になるはずの制度ですから、無期雇用と有期雇用を一つの規則にまとめるとかなり無理が生じてしまいます。

  そこで以下のように就業規則の特別規則として「契約社員就業規則」と「パートタイマー就業規則」を2本作成すればわかりやすくなります。

    

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 会社によっては定年退職後に再雇用をする嘱託社員用の就業規則も必要になるかもしれません。ただ、一般には契約社員就業規則で十分対応できると思います。

 

会社を守るためにあやふやな表現は排除

 モデル就業規則の第3項では「パートタイム労働者の就業に関する事項について、別に定める規則に定めのない事項は、この規則を適用する。」としています。これはかなりあやふやな表現なので、就業規則をめぐる紛争になった場合を考えると、どのような場合に適用になるのか明確にしておかなければいけません。

 契約社員就業規則やパートタイマー就業規則などの特別規則の構造は正社員用の就業規則と同じにして、正社員と全く同じ取り扱いにするのであれば「については就業規則第○章(第○条)を準用する。」として、それぞれの特別規則の中で完結させる必要があります。

  

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以上を踏まえた就業規則案

 これらの問題点を踏まえてモデル就業規則を修正したものが以下の通りになります。

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 「同一労働同一賃金」への対応を踏まえ、賃金以外でも雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保が求められています。正社員用の「就業規則」とそれ以外の「契約社員就業規則」「パートタイマー就業規則」とに差を設ける場合、合理的な説明ができるようにしておかなければいけません。

 

 

 

 

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