厚労省 モデル就業規則 第50条(退職)
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正社員(期間の定めのない従業員)が退職を申し出てきました。当社は人手が足りずできるだけ長い期間残ってほしいので、退職の承認をしないつもりです。
期間の定めのない雇用であれば、従業員はいつでも退職を申し出ることができます。また、退職の申出をした日から起算して原則として14日を経過したときは、会社の承認がなくても民法の規定により退職となります。(民法627①)
当社の就業規則では「退職届は、退職予定日より30日以上前に提出しなければならない。」としているので、予定日の30日以上前に退職届を出さなければ退職を認めていません。
民法の規定に反する就業規則は、その反する部分に関しては無効となります。退職の申出をした日から起算して原則として14日を経過したときは、会社の承認がなくても民法の規定により退職となります。
月給者の場合はいつまでに退職の意思表示がなされたら、退職を認めざるを得ないのでしょうか。
民法では
「期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。」(民法627②)
と規定されています。
この条項について、厚生労働省は「モデル就業規則」の説明として、
「月給者の場合、月末に退職を希望するときは当月の前半に、また、賃金締切日が20日でその日に退職したいときは20日以前1か月間の前半に退職の申出をする必要があります。」
としています。
退職について、モデル就業規則の規定以外にはどのような点について考慮した方が良いでしょうか。
モデル就業規則については次の点を考慮する必要があります。
- 退職日をいつにするのかモデル就業規則には記載がありません。
- 休職期間の満了をもって退職とする規定はモデル就業規則の第9条第3項に記載されていますが、退職に関して記載された本条に記載する考え方もあります。
- 従業員が失踪など長期間行方不明になった場合の規定を考慮した方が良いでしょう。無断欠勤による懲戒解雇という方法もありますが、ハードルは高くなります。
- モデル就業規則の第2項にある証明書の交付は本当に就業規則に必要かどうか検討する余地があります。
- 事務引継ぎや貸与品の返還など、退職する者の義務を明記する必要があります。